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川 ゚ -゚)ξ゚⊿゚)ξ今を憂い、未来を望むようです   2008.07.31

閲覧注意(百合的な意味で) 天を仰いだ。
真っ青な空には、ある種その象徴とも言うべき、太陽が燦々と輝きを放っている。
私は、太陽から浴びせられる熱気と、
それにより暖められたコンクリートの熱さを背中に感じた。

風が一つ吹いた。
颯爽と私の傍を駆け抜けて行ったそれは、私に一瞬の心地よさを与えた。
不意にずっとこのまま微睡んでいたいという、堕落思考的な衝動に駆られる。

だが、所詮こんな想いや感覚など一時のものに過ぎないと、
現実に生きる自分の理性はそれを振り払った。同時に私は、視線を隣へと向けた。

そこには、私と同じ制服に身を包み、
私と共に、ここ屋上にて仰向け寝転んでいる少女が一人。
そして彼女も、今し方の私同様に天を仰いでいた。


「ねぇ、最近どう?」

視線を相変わらず天空に向けたままの彼女から、
突然の質問が投げかけられる。
何てことはない、世間話の切り口として常用され尽くしている文句だ。


「そうだな、特に変わりないな」

「そう……それは残念ね」


私が答えると彼女は、本当に残念だ、と言った調子で更に答えた。


「相変わらず、ウチの父は仕事をせず酒ばかり飲んでいる。
 あと五年もすれば、亡くなった母の遺した保険金を完全に食い潰してしまうよ」

私は具体的な補足説明を交えて更に返答する。
今朝、久方ぶりに見ただらしなく、そして汚く床に横たわっていた父親を想起し、
少し不快感を覚え、再度天を仰いだ。


「本当に、相変わらずなのね」

彼女は、心底残念だ、と言った調子で私に言葉を返す。


「ちなみに、あたしは少し変わったことがあったわ」

「ほう? それは良いことか?」

「いいえ……」

そう言うと、彼女は一つ倦怠感を帯びた溜め息を吐いた。
これは、彼女が落ち込んでいる時の特徴だ。
話を聞いたら慰めてやらねばなと、私は思った。


「……バイト、クビになったの」

失職。

私は、私が幾つか予想していた中の一つの不幸であることに、軽い安堵を覚えた。
同時に彼女を途轍もなく不憫に思った。


安堵したのは、起こった不幸に代用が効くからだ。
目が見えなくなったとか、耳が聞こえなくなったとか、その手の取り返しのつかない不幸ではないからだ。

不憫に思ったのは、彼女の努力が報われなかったからだ。
約半年。その間、彼女はずっと一度の欠勤もなく勤労に励んでいた。
それ以前から彼女と一緒にいる私は、彼女が学校の勉強とそれを、
精一杯努力して両立させていたのを知っていた。


「親がね、バイト先に来て、私が中学生だってことバラしやがったの。
 それで当然だけど、あっさり解雇」

これも私の予想の範疇であった。
私たちは中学三年生。齢にして十四だ。
最近の世間では、現役中学生を雇ってくれる職場など殆どないだろう。
だから、彼女は年齢を偽ってアルバイトを始めた。

私は、それがいつかは明るみになることだろうとは思っていた。
そしていつか辞めさせられるに決まっている。だから止めておいた方がいい、そう考えた。
だが、彼女の心情を重んじれば、その様な無責任な正論を宣うのは躊躇われた。


「親が言うのよ。『勝手なことをするな。問題を起こすな。
 大人しく私たちの言う通りにしていろ』って……」

そこでまた彼女は、一つ倦怠感を帯びた溜め息を吐いた。


「それを聞いてやっぱり思ったわ。“なによ、結局あたしのことなんかどうでも良くて、
 ただあたしの所為で、自分たちの世間からの評判が悪くなるのが嫌なだけなんでしょ”って」


彼女と私は同様に、“親”というモノに信頼を置けない子供だった。

働かず、養育を完全に放棄した親。
娘をただ問題を生み出す害としか見なさず、世間体的な惰性のみでただ養うだけの親。

前者は無責任さを含め、そして双方共に愛情など欠片もありはしない。

それ故に、彼女はそんな親の扶助など受けたくないと、
校則違反だと知りつつ、アルバイトを始めた。

ちなみに私は、社会のゴミ当然な父親のいる家に帰るのが嫌で、
日がな浮浪する、世間的に見ればただのろくでもない不良少女だ。

つまるところ私たちは、素行不良の生徒同士。
そして今二人は、素行不良の生徒にはお似合いの授業放棄の真っ最中。

私は、天空を正面に向けていた身体を少し横に、
彼女のいる方向に転がした。


ξ゚⊿゚)ξ「……」

川 ゚ -゚)「……」

恐らく、彼女も私と同じ様に身体をこちらに傾けてきたのだろう。
彼女の顔が眼前にあったので、内心少しドキリとした。

どちらも相手の顔から視線を逸らさず、見つめ合う。

そうして、気づけば二人は互いの掌を繋ぎ、重ね合わせていた。


ξ゚⊿゚)ξ「……ねぇ、クー。あたし、早く大人になりたい」

川 ゚ -゚)「私もだ……」

成人するまであと六年。
私たちにとって、それはあまりに遠い未来だ。

義務教育中の未成熟な子供である私たちは、あまりに弱い。
職には就けないし、不自由なく生活を送るための資金も居場所もない。
そして、それに対する責任すら取らせて貰えない。

しかしだからと言って、私たちには自分たちの考えが間違っているとは思えなかった。

川 - -)「……ツン」

ξ-⊿-)ξ「……ん」

そして、それは私たち自身の想い合う心も――


視界を閉じた。
すると、あっという間に目の前は暗闇に包まれてしまう。
そう、いともあっさりと。

それでも不安は抱かなかった。

彼女のこの小さな掌から私の全身に伝わる温もり。
それは燦々と天上で輝き続ける太陽よりも、暖かで神々しい。

この世界中の何もかもを差し置いて、唯一彼女だけが未来永劫、私の希望だった。


「なぁ、ツン。私には夢があるんだ」

「……それは初耳ね。聞かせて貰える?」


私の唐突な発言に訝しむこともなく、彼女は即座にそう聞き返してくれた。
優しい子だな、と私は思い、そのまま発言を続けた。


「いつか大人になって、そして君と一緒に暮らすことだ」

「…………奇遇ね」


彼女がそう呟いたのと同時に、私は瞼を開いた。
そして私の眼前には、いっぱいの太陽光に包まれた、彼女のはにかんだ様な笑顔があった。


ξ*゚ー゚)ξ「……あたしの夢も、同じよ」


私は、僅かに頬を赤らめた彼女を愛しさのあまり、強く抱き寄せた。







川 ゚ -゚)ξ゚⊿゚)ξ今を憂い、未来を望むようです-Fin-

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