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从 狭間のようです 从   2008.07.21



その逢瀬は、唐突だった。



その日、俺は地下鉄のホームへ続くエスカレーターを目指す雑踏から離脱した。
階段へ向かう通路には人気がなく、まるで別世界に迷い込んだようだった。
身体に溜まりだしたいらないものを少しでも落とすべく、俺は自動階段に頼ることを辞めたのだ。

そこで、俺は一人の女に出くわした。
彼女は通路で一人、ひんやりとした地に手足をつけて、もぞもぞ動いていた。

俺は、彼女と一緒に、彼女の切符を探した。
俺は壁際に切符が挟まっているのを見つけた。

彼女は俺にありがとうと言い、ふくふくと笑った。
俺は、ぎこちなく笑った。

俺と彼女は連れ立って歩きだした。
俺が階段を一段下りたとき、彼女の手からまた切符が離れた。
俺はそれに手を伸ばすと同時にバランスを失った。





从 ゚∀从「おっと!」

(;'A`)「うおおっ!」

俺は咄嗟に伸びてきた手を掴み返した。

俺は階段の狭い範囲で猛烈にターンし彼女に倒れ込んだ。

从*゚∀从「おぉ…」

(;'A`)「わわわ! すみません!」

俺が世にも情けない声で謝りながら飛び退くと、彼女は服をぱんぱんと払い、立ち上がった。
そして、ぼさぼさな髪の隙間から見えるきりりとした目で俺を睨み、唸るように言った。

从 ゚∀从「許せねえなあ…」
    
(;'A`)「えぇ!?」

俺は身を強張らせた。
見知らぬ女性を故意ではないにせよ、押し倒してしまった代償はやはり大きいだろう。



しかし、彼女の口から出た言葉は意外だった。

从 ゚∀从「罰として、一緒にお昼ごはん食べよう。割り勘で」

(;'A`)「わ、わかりました。えっ?」

彼女は、俺と「お昼ごはん」を食べようと言ったのだ。
自分でもよくわらぬまま、彼女の誘いを承諾してしまっていた。

从 ゚∀从「よし、んなら行くぞっ!」

彼女はそう言うと俺の手を掴み、壁側を向いた。
そこには、いつの間にか鉛色の扉が存在していた。
彼女はその取っ手に手をかけた。

从#゚∀从「ふんっ!」

物々しい鉄の扉が音を立てながらゆっくりと開き、薄暗い通路に光が差し込む。
扉の向こう側は真っ白な世界だった。
彼女はきつく俺の手を握り直すと、そこへ大きく踏み込んだ。

彼女に手をひかれ、俺は光の世界へ飛び込んだ。
誰かの強烈な視線を感じながら。





俺と彼女は燦々と陽が輝く街中のスクランブルのど真ん中に立っていた。

('A`)「ここは…」

そこは、俺の知っている場所だった。
ビルが並び、硝子がきらきら光っている。
しかし、街はがらんとしていて人気がなかった。
俺は妙な違和感を感じた。

从 ゚∀从「さあさあ! 何処へ行く?」

それなのに、彼女はぴょんぴょんとび跳ねながら嬉しそうに言う。
陽の光に照らされた彼女は、生き生きしていた。



そんな彼女の姿を見ていると、俺はやんわりと心が温まってゆくのを感じた。
気がつくと、俺の顔はほころび、彼女に馴れ馴れしく話しかけていた。

('∀`)「俺はこの街を知ってるよ。
    昔、近くに住んでいたんだ。
    なつかしいなあ。
    あの角に、おいしいラーメン屋があってさ…」

从 ゚∀从「じゃあ、そこに行こう!」

('∀`)「え?」

彼女は俺を置いて歩きだした。
俺は初対面の女の子にあんなに流暢に喋れたことを不思議に思いつつも、後に続く。
女の子の昼食にラーメンはどうかと思ったが、彼女にはカフェやレストランは似合いそうにもなかった。



彼女に続いて店に入ると、彼女はもうラーメンをすすっていた。
俺も隣に座り、既に用意されていたラーメンを一緒にすする。

从*゚∀从「ズズズー」

店内には、誰もいなかった。

…それでも良かった。
ただ、彼女が私の横でラーメンをすすっていれば、それは素晴らしい事なのだ。
俺は、言い表せぬ喜びを感じていた。

その時だった。
ふと、背中に強烈な視線を感じた。
俺は振り向いた。

从'-'从「………」

少し離れたテーブルに女が一人座って俺を見つめていた。



突然、世界が色をなくした。

从'-'从「………」

('A`)「………」

俺と女は無言で見つめあった。
女はかわいらしい顔をしていたが、それを打ち消すような表情で、ただ俺をじっと見ていた。
女が何を思うのかわからない。
俺はそんな女の表情を、恐ろしく思った。

(;'A`)「痛ッ!」

突然、頭にするどい痛みが走った。

从'-'从「………」

女は俺を見つめ続ける。
俺は女の視線から逃げるように店から走り出た。




肌に外気が触れた瞬間、隣から声がした。

从;゚∀从「なんで、置いて行くんだよう
      お、お前はどんくさいんだから俺が不安になるじゃあないか…」

彼女が俺に不安げな声で語りかけた。
世界が色を取り戻した。

(;'A`)「あ… ごめ…」

('∀`)「…ごめんな」

从*゚∀从「許す」



彼女の名前は高岡といった。
彼女はよく喋り、よく笑った。
俺と彼女は二人だけの街で共に過ごした。

街は夜にならなかった。
空は何処までも晴れ渡っていた。
二人は疲れも知らず、ただ街を歩き、気まぐれに店を覘いたりした。



そして、行く先々であの女の視線を感じた。
女は俺が幸せな気分に首までひたる直前に、世界の色を奪った。
その度に俺は刺すような頭痛に襲われ、高岡を置いて店から走り出た。

(;'A`)「あ… ごめ…」

('∀`)「…ごめんな」

从*゚∀从「許す」

そんなやり取りを何度したことか。



从 ゚∀从「今度はここに入ろうぜ!」

('∀`)「でも、ここは…」

从*゚∀从「いいから、いいから」

そこは店ではなかった。
街の外れに立つ、小さなアパートだった。



从*゚∀从「こっち、こっち!」

高岡はかんかんと階段を上り、二階の一番奥の部屋の前に立った。
俺も後に続く。

('A`)「………」

古いアパートだった。
俺はその茶色い扉に見覚えがあった。

('A`)「なんだろう… 俺はここを知ってるよ」

从 ゚∀从「………」

高岡は無言で扉を開けた。



部屋の中は西日が差しこんでいた。
彼女は台所の方へ姿を消した。
俺は四畳半の畳に座って、彼女を待った。
部屋の一角に、タンスが置いてあり、上に小さな写真立てが置いてあった。
俺は立ち上がり、タンスに近づくと、それを見た。


スクール水着姿の少年と少女が市民プールを背に並んで写っていた。
少女は快活に笑っているが、少年の方はどことなく顔色が悪い。
おそらくカナヅチなのだろう。

('A`)「………あ」

それを見て、俺は全てに気付いてしまった。
俺の中のふわふわした心地良さは一瞬で消え失せた。
突然、冷たいプールに蹴落とされたように。



俺は時が止まったような部屋で、ただ待った。
やがて、足跡が近づき、後ろの襖がそっと開いた。
振り返るとずいぶん薄着姿の高岡が俯いて立っていた。



目の前の彼女の表情は髪に隠れてよくわからない。
しかし、俺は彼女を別に恐ろしくも思わなかった。

俺は記憶の片隅にいつも置いてある、ある言葉を呟いた。

('A`)「ハイン…」

从 ∀从「………」

それは、幼い頃いつも一緒だった女の子のあだ名だった。

('A`)「ハインなのか?」

从 ∀从「………」

彼女は黙りこんでいたが、やがてゆっくり顔を上げた。
その顔は涙でぐしゃぐしゃになっていた。

从 ;-从「…そうだよ。ドクオ」

懐かしいあだ名を呟く彼女に、俺は幼き日の彼女を見た。
きりりとした顔立ち、男勝りな喋り方。
彼女はなんら変わっていなかった。



(;A;)「ハインッ!」

永遠に会えないと思っていた人が目の前にいる。
俺は思わず彼女を抱きしめていた。

从* ∀从「お、おい…」

从*゚∀从「や、優しくしろよ…」

彼女は俺の胸に顔をうずめ、もごもご言った。



どれくらいの時間が経っただろう。
俺達はただ、無言で四畳半に座り込んでいた。
俺はこの時間がずっと続けばいいと思った。
話したいこともたくさんある。
でも…

从 ∀从「…でもさ、やっぱりだめだよなあ」

彼女がそっと言った。


从 ;∀从「…やっぱり、だめだよう」

俺は彼女が何を言っているのかわかった。
俺は開いた襖の向こうの暗がりから、自分に向けられている視線に気付いていた。

ハインは身体を震わせ、黙り込む。
世界が色をなくしていく。

('A`)「ハイン…」

(;A;)「ハイン… 俺は…」

俺は、言葉が見つからなかった。
涙に邪魔をされ、何も言えなくなってしまった。



静かな部屋に嗚咽だけが響いていた。
彼女は涙目の俺を涙目でじっと見ていたが、静かに溜息をはくと、急に立ち上がった。
そして、ごしごし目をこすると、俺を見下ろして言った。

从 ゚∀从「あー! 柄でもねえぞ、ドクオ!
     お前の腕の中なんて暑くていられねえわ!」

从 ;∀从「おっ、お前はまだ来んな!
      ほら… あの人は悲しんでいるんだ!」

从 う∀从「ちくしょう! 泣いてねえぞ!」

彼女はそう言って笑った。
やはり、笑顔が似合う奴だと思った。

(うA`)「…ちょっと泣いてただろ」

俺も目をごしごしこすった。

('∀`)「…あの人は俺にとって大事な人の一人なんだ。
ありがとな。久しぶりにお前に会えて本当に良かったよ。」

そして笑った。



俺は襖の向こうの暗がり見た。
二つの眼が俺をじっと見つめている。

('A`)「…んじゃ、俺は帰るわ」

俺はそう言うと立ち上がり、ハインの肩を一回ぽんと叩いた。
もう一度、二人で笑みを交わした。

('A`)「じゃあな」

从 ゚∀从「おう!」

('A`)「…行くわ」

从 ∀从「わかってる。早く行け」

俺は、暗がりから俺を見つめる女の方へ近づいて行った。
もう、恐怖は感じなかった。



女に一歩近づく度に頭痛は酷くなり、世界は歪んでゆく。
俺は朦朧としながらも、女を目指す。

从'-'从「………」

('A`)「………」

やがて、俺は女と至近距離で見つめあった。
近づいて、やっとわかった。
彼女はこんなにも悲しげな眼をしていたのだ。

('A`)「…ただいま」

从'-'从「………」

俺は女に優しく言った。


世界は歪み、頭は割れるように痛い。
頭に響くノイズの中に、微かにすすり泣く声を聞いた気がした。
しかし、俺は振り向かず、最後の涙を飲み込むと、一呼吸おいて女の手を握った。

('A`)「実は言うと、今まで俺はお前の事があんまりわからなかった。
    でも今、お前の気持ちに感謝してる。
    ごめん。それとありがとう」

少し、照れくさかった。

从'-'从「………」

从'ー'从「………」

彼女はふくふくと笑った。


終わり

お題は
・从*゚∀从「や、優しくしろよ…」
・スク水

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