( ><)一家のようです 2008.11.21
ここは平和なビロード家。
夫と妻と娘の三人で暮らしています。
( ><)「ふあー……」
朝、最初にお茶の間に現れたのは、一家の大黒柱、ビロード。
(*‘ω‘ *)「おはようっぽ親父!」
次に出て来たのは一家の男勝りな娘、ちんぽっぽ。
制服を着てやって来ます。
ちんぽっぽは今日から高校生で、とても張り切っていました。
ですが。
(;><)「おはようなんです! って……えぇっ!?」
ビロードはちんぽっぽの姿を見るなり、片手に持ったお茶をこぼしそうになりました。
彼が驚くのも無理はありません。
ちんぽっぽの着ていた制服は、男子用の学ランだったからです、おまけに帽子付き。
(;><)「おっ、お母さ――ん!」
( <●><●>)「うるさいです」
そう言って出て来たのは、割烹着を着た一家のお母さん、ワカッテマス。
一家で一番物知りなしっかりしたお母さんです。
その反面、一家最強の称号を会得しています。
(;><)「だ、だってちんぽっぽが……」
(*‘ω‘ *)「何かおかしいっぽ?」
ちんぽっぽは中学生の頃、確かに男勝りではありましたが、制服はちゃんと女子のものを着ていました。
それが急にこうなってしまうと思わず、更にはちんぽっぽもそれがさも当たり前な様に言う訳ですから、ビロードはショックでいっぱいでした。
( <●><●>)「おやちんぽっぽ、ちゃんと制服が似合ってますね」
(*‘ω‘ *)「サンキューっぽ、お袋」
(;><)「お母さんまで!?
こんなんで良いんでしょうか……」
せっかく可愛い顔をしているのに……と落ち込むビロードをよそに、ワカッテマスは朝ご飯の準備を再開します。
(*‘ω‘ *)「今日から高校生っぽ、楽しみだっぽ」
( ><)「それは良かったんです」
ちゃぶ台を囲んで座る二人は、テレビを見ながらのんびり話しています。
( ><)「あっ、テレビの映りが……」
(#*‘ω‘ *)「親父、今直すから待ってろっぽ」
ちんぽっぽは立ち上がると、ガンガンとテレビを叩きます。
それでもなかなか直らないので、ちんぽっぽはもっと強く叩きます。
終いには蹴る殴るまでに至りました。
(;><)「そ、それ以上やったら壊れちゃうんです――!!」
( <●><●>)「ご飯出来ましたよ、って何してるんですか」
ちょうどその時、鍋や茶碗を持ったワカッテマスがお茶の間に入ってきました。
(#*‘ω‘ *)「テレビがイカれたっぽ」
( <●><●>)「なるほど、ここを叩けば大丈夫ですよ」
そう言ってワカッテマスがテレビを叩くと、テレビの映りはすぐに良くなりました。
ビロードもちんぽっぽも感心です。
( ><)「じゃあご飯食べるんです!」
( <●><●>)「今日は冷製おでん工場から残り物貰いました」
(*‘ω‘ *)「おでんうめぇっぽ」
ちゃぶ台の中心におでんの鍋が置かれ、皆少しずつ食べていきます。
(*‘ω‘ *)「ごちそうさまっぽ、じゃあ行って来るっぽ!」
一番早く食べ終わったちんぽっぽは、すぐに立ち上がり鞄を肩に掛けて出て行こうとします。
( <●><●>)「行ってらっしゃい」
(;><)「本当にその格好で行くんですか!?」
至って冷静なワカッテマスに比べて、ビロードはちんぽっぽを何とか引き止めようとします。
(;><)「お母さんも何か言って下さいなんですっ」
( <●><●>)「知るか」
そうこう言ってる間に、もうちんぽっぽは学校に行ってしまい、ビロードは悲しんでいました。
( ><)「たまには優しくしたって良いじゃない……」
ワカッテマスへの不満も交えてビロードはぶつぶつと独り言を呟いていました。
体育座りをして床にのを書き、今にもキノコを床から生やしそうなくらいにどんよりとしたオーラを出します。
( <●><●>)「何ぶつぶつと独り言を」
( ><)「ちんぽっぽの格好を見て何とも思わなかったんですか?」
( <●><●>)「制服が似合ってるなあと」
(;><)「あの子は女の子ですよ!?
それなのにあんな制服で行くなんて……」
(∩<●><●>)「あーあー聞こえない」
( ><)「(このやろう……)」
( <●><●>)「そもそも何故そこまで気にする必要が」
( ><)「いやだって女の子ですし」
( <●><●>)「別に良いじゃないですか、誰に似たのかは知りませんが」
( ><)「ちんぽっぽの男勝りなところは間違いなくお母さん似なんです」
( <●><●>)「?」
ほわんほわん、とビロードの頭から回想が始まります。
そこには高校生の頃のビロードとワカッテマスがいました。
(;><)『ワカッテマスちゃん! またそんな格好してるんですか!?』
( <●><●>)『そんなって、ビロードと同じ格好ですが』
そう、そこにはビロードと同じ格好……学ラン姿のワカッテマスがいたのです。
(;><)『ワカッテマスちゃんは女の子でしょう?
お母さんも困ってるんです』
( <●><●>)b『男女平等ボーダーレス社会だから大丈夫です』
(;><)『り、理由になってない!』
ほわんほわん、とビロードは現実に戻りました。
( ><)「あの頃は苦労したんです」
( <●><●>)「何か知らんが苛ついた」
(;><)「と、とにかく!
もう少しちんぽっぽを女の子らしくしたいんです」
ビロードの思いは切実でした。
昔の経験もあってか、その思いをより強くします。
( <●><●>)「まあ当分は無理な話でしょうね」
(;><)「あうぅ……」
( <●><●>)「それにもしもちんぽっぽが彼氏とか連れて来たらきっとビロード泣きますし」
(;><)「あんまり想像したく無いんです……」
( <●><●>)「それよりさっさと仕事行って下さい」
( ><)「……行ってきますなんです」
そう言ってビロードが家から出て行こうとした時、遠くからちんぽっぽともう一人の影が見えて来ました。
(;*‘ω‘ *)「上履き忘れたっぽー!」
(;´ー`)「お前の事情なんざ知らねーよ……だから服引っ張るんじゃねーよ」
ちんぽっぽは男、シラネーヨの制服を引っ張りながら家まで走って来ます。
ビロードはそんな二人を見て放心状態に陥ってました。
( <●><●>)「……こうなる事は分かってました」
(;*‘ω‘ *)「お袋、その袋こっちに投げろっぽ!」
( <●><●>)「ん」
ワカッテマスが袋を投げると、キャッチするなりちんぽっぽはまたシラネーヨを引っ張って走って行きました。
( <●><●>)「ほらビロード、あれが未来の姿ですよ」
( ><)「……」
ワカッテマスが指差す先には何だかんだ言いながらも、仲良く走る二人の姿がありました。
( ><)「今から泣いて良いですか?」
( <●><●>)「駄目です」
いつかちんぽっぽも花も恥じらう乙女になって、誰かを連れて来る日も
それでビロードが影でこっそり泣く日も
そう、遠くないようです。
――( ><)一家のようです 終わり
お題
・冷製おでん工場
・たまには優しくしたって良いじゃない
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