証券 K.2nd:( ^ω^) 戦争が始まるようです

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( ^ω^) 戦争が始まるようです   2008.10.20



設定を「強」にされた一台の扇風機から繰り出される生暖かい風が、
テーブルを挟んで向かい合っている二人の男たちに、順番に運ばれていく。
ベランダに通ずる窓は全開にされているが、ここと外の気温差など、太陽光が届かないだけまし、という程度である。

その気だるい暑さの中で、二人はただ目の前にあるノートパソコンとにらみ合っていた。
画面に映っているのは両者とも同じ、喪男ポリスの街風景だった。
(;'A`) 「いねーなー」

ああー、と背伸びをして、パソコンの隣に置かれた、水たまりをつくっている麦茶を一気に飲み干す。
既にぬるま湯と化したそれに、ドクオは顔をしかめた。
気分直しに煙草を口にくわえ、安物のジッポで火をつけると、天井に紫煙が舞った。

(;^ω^) 「結構広いお、この街……。
二十年もあれば、そんくらいにはなるもんかお」

内藤の独り言めいた話に、全くだ、と返す。

ここ、喪男ポリスが新興都市だとはいえ、登録されている住民は一万人を優に超える。
たった二人で全てを見回るのは、いくらなんでも無謀としか言いようがなかった。

それでも、火傷しそうなほど熱くなったパソコンを労わることなく、内藤がマウスクリックを休めることはなかった。

(;'A`) 「ばらまいてきたサーチ・アイの情報にも未だ該当者なし、か。
    もうこの街から出てったんじゃね?」


(;^ω^) 「かもしれないお……。監視衛星が恋しいお」

開始して数時間、弱音を吐露することのなかった内藤の心が、ついに折れ始める。
体面に座る男と同じ伸びをして、麦茶を飲み干す。
残念なことに、温度も同じだったようだ。彼の眉間にもしわが刻まれた。

空のコップも伴って席を立つと、彼の行動の先を読んだのだろう、相棒が自分のコップを差し出した。

('A`) 「おれのも頼むわ」

無言で受け取って冷蔵庫の扉を開くと、放たれた冷気が茹であがりかけた全身を包んだ。
カラカラと小気味よい音を響かせながら、残り少ない氷を均等に分け合っていると、
蒸し暑い部屋に暑苦しい音楽が流れ込んできた。

(;^ω^) 「お前いい加減その着メロやめろお」

携帯電話を取り出し、今まさに通話ボタンを押そうとしていたドクオの指が止まる。
電話を耳に当てたまま、氷の入ったコップを受け取ると、

('A`) 「好きなんだよ」

とだけ言って、改めて直前の行動を反復した。

('A`) 「もしもーし? どなたですk……え?」

緩く孤を描いていた背中が、棒を突っ込まれたように無理やり正される。
それだけで、内藤には相手主が容易に推察できた。


(;'A`) 「はっ失礼いたしました! はい……はい、了解しました」

耳から離された電話が、内藤に差し出される。
彼の鼓膜に、ゴクリ、と喉の鳴る音が、いやにはっきりと響いた。

('A`) 「内藤、電話。中佐殿からだ」

やはりか。
内心で舌打ちをしながらも、表面化させることはない。
渡された電話をゆっくりと耳に近づけると、内藤の背骨も一直線に天頂へ伸ばされていった。

( ^ω^) 「お電話変わりました、内藤中尉であります」

( ) 『やあ、中尉。目標を見つけたそうじゃないか?』

(;゚ω゚) 「!?」

心臓が回転率をあげ、視界が一瞬揺らいだ。
何故、報告していない事柄がばれている。
男の疑問を解消させる術はなく、言い訳を考慮する暇も与えられることはなかった。

( ) 『君がすぐに連絡をよこさなかったわけもわかる。
    おおかた功を焦ったとか、そんなところだろう?』

両掌が湿り気を帯びていく。
上司が続けざまに言い放ったのは、内藤の目的そのものだった。


(;^ω^) 「ハッ! 申し訳ありませんでした!」

( ) 『ははは。まあ、わからんでもないがね。
    私だって、若いころはそうだったものさ。
    だが、今後このようなことは慎んでくれよ、ホライゾン君』

初めて与えられた極秘任務。
単独で成し遂げて功績を上げたいというのは、おそらく誰にでもあることなのだ。
それをいとも簡単に看破されたとわかって、青年の身体の放熱率が急上昇した。

(;^ω^) 「はい……すいませんお」

観念してしまったのだろう、中尉の眼に野心の光は宿っていなかった。
電話越しでも彼の心中を察するのは容易だったようだ。
わかればいい、という中佐の言葉は、先刻よりも柔らかなものだった。

( ) 『ああ、そうそう。増援もすでに百名ほどそっちに送ってある。
    その街の探索は彼らに任せて、君たちは本営に戻ってきたまえ』

いつの間にか傍らに立っていたドクオも、落胆の色を見せていた。
初陣で手柄をあげそこなったのだ。二人の表情が暗くなるのも仕方のないことだった。

(;^ω^) 「了解しましたお。
       ……ですが、申し訳ありませんが仲間に手引きされてすでに脱出している可能性も」

( ) 『それはないよ、中尉。彼女にそんなパイプはない。
    あれはどこの組織にも所属していないからね』


(;^ω^) 「え……」

男たちは、顔を見合わせる。
事前によこされた情報では、"目標は他組織のスパイ"とあった。
だというのに、今、相手が言ったのは事実上"彼女はどこにも所属していない"ということなのだ。
二人の呆けた表情でも想像してしまったのだろうか。
電話口から、押し殺すような笑い声が流れてきた。

( ) 『何故そんなことがわかる、そう思っているんだろう?』

(;^ω^) 「い、いえ、決しt」

( ) 『隠さなくていい、疑問に思うのも当然だ。
    彼女は少し特別な存在でね。今はまだ話すわけにはいかないんだが……。
    まあ、それもあと少しの間だけだ。すぐに、君も目の当たりにすることになるよ。
    私たちが何故追うのか、その理由を、ね』

これ以上は何も話してはくれないと感じたのか、

( ^ω^) 「はっ、了解しましたお。では、今からそちらへ戻りますお」

と言って内藤は会話を終了させた。

( ) 『ああ。なるべく急いでくれ。
    作戦開始予定時刻まで時間がないからね。では、本営で会おう』


一定の信号音を漏らすだけになってしまった電話を、ドクオに返す。

( ^ω^) (戦争を、ついにおっ始めるのかお……)

パソコンの画面を覗くと、公園で子供たちが遊んでいる姿が映し出されていた。
彼らの無邪気さも、明日には絶望と恐怖に歪んだものへと変貌するのだ。

この憩いの場も、変わり果てていることだろう。
血と銃弾に塗れ、爆弾によって大穴を開けられた、悲しい戦場に。

そう思うと、彼の心にまた一つ、暗い影が落ちていった。

火星公社の息が強いとはいえ、こんな都市をいきなり攻撃してもいいのものだろうか。

内藤を沈ませる要因は、きっとそれだけではないのだろう。
彼の脳裏によぎるのは、暗視ゴーグル越しに両目が捉えた、あの華奢な少女。
あの時はよくわからなかったが、後でゴーグルの脇に付けられたカメラから再生された鮮明な画像を見た。
燃えるような紅い髪で尾を引く彼女は、まるで戦女神だ、と内藤の心を揺さぶったものだった。

( ^ω^) (にしても、いったい誰がおじさんに言ったんだお……?)

報告していないはずの情報が知られていた。
つまりは、己の部下の中に監視者がいるということだった。
隊員は多くない、両手で数える程度である。特定するのもさほど難しいとは思えなかった。

しかし、だからこそ、よく見知った部下である。
彼らをこれから先、疑ってかからねばならないのかと思うと、内藤の表情はとても暗いものへ落ちていくのだった。





( ^ω^) 戦争が始まるようです


fin

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