証券 K.2nd:153番目の灰色の部屋のようです

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153番目の灰色の部屋のようです   2008.09.17

爪'ー`)y‐「虫垂強化手術完了。成功しました」

( ФωФ)「御苦労だった。これで残る臓器は腎臓と膀胱周辺のみだな」

事務的な報告を終えてフォックスは部屋を出た。
君は優秀で助かる、と手に握らされた大して厚くない封筒を開けずにゴミ箱へ捨てる。

今彼女が一つ一つ丹念に臓器強化手術を施している戦闘強化人間実験体は、通しで数えて153号だった。
つまり152体の実験に失敗し、その教訓をもって改造されている。

152体の失敗は152の命をもてあそんだということだ。

しかし今フォックスの脳裏にその事実の重みは無い。
その重みを感じる暇があるなら153号の成功を考えなければならない。

153号の集中処置室の戸を開けた。素早く繋がれた機器の数値チェックする。

爪'ー`)y‐「異常無し……と」

(-<_- )「……」

153号は目を閉じたままだ。

フォックスは153号に近づいて頬に手を触れた。

半年前までは彼女と共に研究者として152号を看取り、彼女と共に伴侶として生きていた彼の頬に。
発狂し銃殺されて153号と呼ばれるようになった、彼の、頬に。



川 ゚ -゚)「林檎が落ちるのをみて重力を発見したなんて如何にも嘘臭い話だと思わないか」
('A`)「いきなりニュートンか」

窓の外を流れ行く和やかな景色を無言で眺めていると彼女は突如として口を開いた。

('A`)「嘘だろうがなんだろうがいいじゃねえか」
川 ゚ -゚)「そんな下らない話で科学の身近さを押し付けようとする姿勢にふと反感を覚えただけだ」
('A`)「……お前はきっと明日からそういう話ばかりになるんだな」

言ってからしまったと思った。
この窓の外の和やかな景色が都会に変わり、しばらく行くと彼女は自分の手の届かないところに行ってしまう。

言ってから実感が込み上げてポーカーフェイスが崩れそうだった。

川 ゚ -゚)「いやきっと出来ない。軍の極秘研究に従事しに行くんだ。恐らく殺伐としている」
('A`)「外部と遮断される分中は和気あいあいかもよ」

ああ、彼女が、クーが天才なんかじゃ無ければ良かったのに。
そうしたら軍なんかに強制徴用されなかったのに。

川 ゚ -゚)「林檎じゃなくても良かったのに」

そう、例えば涙は垂直に地球に流れる。
そう言って彼女の指が俺の濡れた頬を拭って、漸く自分が泣いていると気付いた。

窓の外はもうしばらく和やかな景色だ。



軍の施設に着いて、通された部屋は灰色だった。
真ん中には男が1人座っている。

( ФωФ)「これがそうだ」

(´<_` )「……」

男は全く無表情だった。
こちらを認識しているらしく、眼球が動きを追ってはいる。

( ФωФ)「実験体153号。戦闘強化プロジェクトの成功例だ。データの上では。
       問題は脳はいじっていないのにこちらとコミュニケーションとろうとしてくれない」

川 ゚ -゚)「それを私になんとかしろと……?」

( ФωФ)「そうだよ。天才心理学者クー・オベイズ」

渡された資料に目を落とす。
施された手術の記録だ。
紛れもなく人体実験だった。

考えるより先に衝動が口をついて出た。

川 ゚ -゚)「この実験は倫理的に許されません。即刻中止すべきです」

( ФωФ)「君にその意見は求めていない」

川 ゚ -゚)「私に求めているかは問題ではありません。こんなことが許されるとでも」


( ФωФ)「それ以上続ければ君の大切な人が154号になるだけだが。もちろん君は155号だ」

川 ゚ -゚)「……っ私はこのプロジェクトに参加出来ません。」

ロマネスクは一つため息をついてポケットを探った。

( ФωФ)「強情だな。自らを曲げないその姿勢は評価する」

ポケットから出て来たのは2つの小さなサイコロだった。

( ФωФ)「ゆえにチャンスをやろう。ぞろ目を出したら君は好きにするといい」

サイコロを受け取って私は目を閉じた。
1/6の確率で自由が手に入る。
1/6で自由が……

川 - )「……要りません」

( ФωФ)「おや?せっかくのチャンスを」

川 ゚ -゚)「その代わりドクオには手を出さないでください」

1/6を手に入れても多分その自由を奪うのは軍の自由だ。
そして多分、ドクオの自由も。

軍に来た時点で私の負けだ。
未来が灰色に変わるのが分かった。


川 ゚ -゚)「なんなんですか。あれは一体なんなんですか」

爪'ー`)y‐「だから実験体153号だよ」

新しく来た心理学者の女がつっかかってきた。
だから外部の人間を入れるのは嫌だったというのに。

爪'ー`)y‐「153号で身体的に異常は無くてだがコミュニケーション能力がゼロだ」

恐らく彼女も分かっているであろうことを口にする。
そのまま強引に立ち去ろうとした。153号のことは話したくない。

川 ゚ -゚)「……走る速さは」

爪'ー`)y‐「あ?」

立ち去ろうとしたが意外な言葉に引き留められた。



川 ゚ -゚)「どのぐらいの速さで走れるのか聞いている」

爪'ー`)y‐「そんなこと聞いてどーすんだよ」

川 ゚ -゚)「涙の跡が横についていた」

爪'ー`)y‐「……泣くのか」

川 ゚ -゚)「気付いていなかったのか?」

沈黙が流れた。
自分の持つタバコの煙だけが動く。

川 ゚ -゚)「フォックス博士の検査の後はたまに涙の跡が見られる。それも横に。普通はジェットコースターにでも乗らない限り涙は横に流れないのに」

心理学者の女は一旦そこで言葉を切って真っ直ぐこっちを見てきた。

川 ゚ -゚)「あれは一体なんだ。そしてあなたは一体153号のなんだ」

話したくない。
話したくない。

叫びそうな体を押さえて視線ごと強引に振り切って立ち去るのが精一杯だった。

( ´_ゝ`)「久しぶりだな」

深夜。153号とかかれた部屋に俺はいた。
目の前には弟者。弟者だったもの。

( ´_ゝ`)「行こうか。フォックスと後から強制徴用された人間は逃がしたから」

弟者は答えない。

( ´_ゝ`)「ごめんな。迎えに来るのが遅れて。お前が殺されてから監禁されてたんだ」

弟者の能面のような顔に涙が一筋流れた。

( ´_ゝ`)「主任研究員だったから安易に殺されなくて良かった。その分フォックスに負担がいってしまったがな」

兄者が弟者に手を差し伸べると、弟者は眉一つ動かさずその手を取った。

( ´_ゝ`)「俺の友人で、お前の恋人に地獄を見せたのは悔やみきれんよ」

弟者の手に力がこもる。

( ´_ゝ`)「……知ってたか?俺もフォックスが好きだった。お前は俺で俺はお前だからな」

その時、弟者の瞳が兄者を見た。
確実に、だが2人の間にしか分からない意志を持って。
同じ遺伝子を持つ相手。

( ´_ゝ`)「終わりにしよう」

翌朝、新聞のトップを飾るのは恐らく軍の研究所の事故による火災。



お題
・虫垂強化手術に成功
・涙は垂直に地球に流れる
・ぞろ目
・ジェットコースターにでも乗らない限り涙は横には流れない
・あなたは私そのもの




関連作品
ξ-⊿-)ξ白い部屋のようです http://stupidrabbits.web.fc2.com/synthesis/white_room.html リンク先ヴァニラさん
川 ゚ -゚)明日はきっと最良の日なようです http://nagixnagi.blog38.fc2.com/blog-entry-631.html リンク先ナギさん

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