弟者は戦い、微笑むようです 2008.09.17
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(;゚∀゚)「テメェさっさとそこをどきやがれ……っ」
(´<_` )「 だ が 断 る 」
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(#゚∀゚)「なら、力ずくでも退かせてやらァ」
弟者はジョルジュの右拳を、ジョルジュは弟者の右拳をそれぞれ握りながら、
互いの腕に力を込めていた。弟者は俺たち三人とジョルジュの間に体を入れ、攻撃させないよう
うまく相手をコントロールしている。
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(#゚∀゚)「ぐぎぎぎぎぎぎぎ」
(´<_` )「まあ頑張ってくれ」
ジョルジュが顔を真っ赤にしている様子からして、かなりの力がかかっているはずだが
それにもかかわらず弟者は涼しい顔。しかも、彼の右腕はどういう仕組みなのか
ツンの右腕がくっついている。頼りない銀の腕が、対照的なジョルジュの腕を捕まえ決して放さない。 _
(#゚∀゚)「その余裕ぶった顔がムカつくんだよぉおおオッ!!!」
このままでは埒が明かないと踏んだのか、ジョルジュは右腕を振りほどくと
弟者の右腕を握る左手に力を込め、自分の方へと引き寄せる。
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(#゚∀゚)「うらあああああああああッッ!!!」
弟者を引き寄せたのとは逆の手を弟者の後頭部へと回し、無防備にさらされた腹部へと、
手抜きの一切無い、渾身の膝蹴りを打ち込んだ。
けれど。
(´<_` )「まあ、この程度だろうな」
弟者は掴まれた腕はそのままに、抱きこまれた体を半回転させ、
蹴りの攻撃範囲からたやすく逃れてみせた。
弟者は、大振りの技の反動も相まって、支えを失ったジョルジュの膝裏を軽く払う。
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(;゚∀゚)「ぎゃ」
(´<_` )「ほらよっと」
あっけなくジョルジュは尻餅をつき、弾みで脱げた健康サンダルが宙を舞う
そしてそれは、ジョルジュの広いデコへとうまい具合に着地した。
(´<_,` )「ハハ、自分で自分を踏みつける気分はどうだ?」
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(#゚∀゚)「ぐぐぐぐぐぐ」
ジョルジュは恥辱で顔を真っ赤に染めながら、額に乗ったサンダルを払い落とし
怒りに任せ、闇雲に攻撃を繰り出し始めた。
右のジャブを弟者が半歩引いて避ければ、ジョルジュは引いた分だけ間合いを詰め、
腰を深く落として下段回し蹴りへと繋げる。大きく足元を薙ぎ払う。
しかし攻撃のため低くしゃがみこんだのが災いし、
弟者はジョルジュの頭を踏みつけて、弟者はふわりと鮮やかにジョルジュの真上を飛び越える。
(´<_` )「兄者に提示された条件もこなしたことだし、正直パワー馬鹿の相手は疲れるんだ」
(´<_` )「すまんがそろそろ、終わりにさせてもらうぞ」
言うが早いか、弟者は両腕を横へ開き、ぴんと指先までを伸ばしきったかと思うと、
右の指先を天へ、左の指先を地へと向け、そして自らの体をかき抱くように
その構えのまま腕を胸の前で交差させた。
ξ゚⊿゚)ξ「何? あの構え」
(メメω^)「あれは……いや、そんなわけないお。
あの技術を持つ人形は、もう百年以上前に全て廃棄されたはず」
( ´_ゝ`)「ブーンも知ってるのか、あの技を」
(メメω^)「少なくともモグリの人形遣いの間では伝説だお。人形がまだ“カラクリ”と呼ばれていた頃、
体内の部品をさまざまに組み替え、あらゆる形を自ら作り上げる
完全に自立した思考、行動体系を持つ人形についての研究、その集大成」
俺たちが戦いの行方を固唾をのんで見守る中、焦れたジョルジュが動いた。
高く高く飛び上がり、膝を抱えて回転しながら弟者の頭上へと移動。
最高、最強のタイミングで体をたわませ、鉄の踵を、
無防備に俯いたままの弟者の頭へと振り下ろした。
同時に、背を屈め自らの体を抱きしめるような体勢をとる弟者の背中から、ばつり、と何かの外れる音。
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(#゚∀゚)「妙なポーズ決めてんじゃねぇ、気味悪いんだよお前はぁああああああっっ!!!!」
の瞬間、弟者の背中部分が真っ二つに裂け、内側からいくつもの歯車やら螺子やらが飛び出し
組み替えパズルを超高速で解くが如く、縦横に動いて互いに組み合わさって一対の大きな翼を形成。
弟者を守るように×の字に重なり、ジョルジュの足を受け止めた。
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(#゚∀゚)「んなっ!」
ジョルジュの足が触れた瞬間、翼はさらに形を変える。
片翼がジョルジュの足に巻きつき、もう片方は巻きついた片翼と繋がって、
一本の大きな腕となった。
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(;゚∀゚)「くそっ、くそ、放せ!!!」
(´<_` )「断ると言ったはずだが?」
巨大な腕を背から生やして、弟者は淡々と言葉を紡ぐ。
腕は、男の足を捕らえ、そのまま空へと逆さに吊り下げた。
どうやら弟者は、先刻ジョルジュ自身ががツンに行った行為を、そのままなぞろうとしているらしい。
ならば、次は。
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(;゚∀゚)「や、やめろ!!!」
(´<_` )「じゃあな。いつかジャンク屋でお前を見つけたら、花のひとつも手向けてやろう」
弟者が三本目の腕に力を込めた。
ぎしぎしと、ジョルジュの最新鋭の義体が悲鳴をあげている。
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(;゚∀゚)「まさか、この俺が!こ、んな、壊れかけの木製人形ごときに」
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(;゚∀゚)「やられるなんt」
(´<_` )「はいはい、テンプレートな台詞乙」
末期の言葉を容赦なくぶった切り、弟者はぱちりと指を鳴らした。
めき、とかすかな音がして、ジョルジュの体が大きく震える。
そして、何気なく、ジョルジュを握りしめた弟者の“手”の、親指が真横へと滑り。
ジョルジュの首があっけなく、胴を離れて地に落ちた。
終
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