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('A`)ドクオがオムの煩悩に田植え機を諦めハンドクリームをビシィ!でデリィィィィシャス!のようです   2008.06.27

美味い…。
この口の中に広がるケチャップの味、風味を纏うゴハン、チキンライスと呼ばれるそれを包むオムレツ。
食前に掌に塗った"ハンドクリーム"が鼻を刺激する、不快だ。
だが私には関係がない、味覚を掌る神経がフル回転しているから。
味覚は美味いとうなりを上げながら、脳を突き飛ばす、
ステンレス製のスプーンを持つ左手がまるで高速テンポのメトロノームのように動く、口に掻き込む、また、動く。
ふと気付くと直径がバスケットボール大の大皿に盛られた"雄武雷守"というらしい料理が三分の一ほどまで減っている。
夢中で食べ続け、ちょうど半分ほどに達したところで一息をついた。
右手を僅かばかり動かしたところに用意しておいた麦から作ったお茶を飲む、リラックス。

('A`)「ふぅ…いやー美味いわ」
気が抜けてつい独り言を言ってしまった、この家には私が独り、妻と子にはとうの昔に出て行かれた、
思えば妻も独り言が多かった、しかし今の私に残っているのは、家と水田と、僅かばかりの思い出だけだった。

今日、いつものように農作業から戻ってくると、机の上に雄武雷守と書かれた紙と、この料理が置かれていた。
いつもの私なら得体の知れない料理などすぐに処分するが、今日は気温が高く、いつも以上に疲れたのと、美味しそうな匂いに誘われ、つい食べてしまった。

だが一口食べた瞬間に世界が変わった、とてつもなく美味しいのだ。



('A`;)(おっと、考えてる場合じゃなかったな)

回想に巡っている間に料理が冷めてしまったようだ。

('A`)(考え込んでたなんて、らしくない)

うっすら苦笑いを浮かべ、ふとスプーンを見る、ステンレスに反射する顔、ブサメン、ゴミメン。
完全に自己嫌悪に陥ってしまった、冷めてしまった料理も相俟って、食欲がなくなった。
これだけの料理なら一気に食べ切れてしまいそうだが、なんとなくそういう気分ではない。

('A`)(残りはまた晩にでも食べればいいか)

料理を保冷箱に入れて、壁に立ててある農作業用の道具を担ぎ、家を出た。
決めるまでが遅いけど、決めてからの行動は早い、と嫁に言われた事を思い出し、また、苦笑い。
それにしても暑い、朝の作業中より暑く感じたのは、あの料理の為か、気温が上がっただけなのか…。


家を出てから、いつも通っている道を通り、水田を目指す。
田植えのこの時期は、収穫の時期に次いで重要な時期だ。
だが重要な時期であるが故に、手間がかかる、なんせ視界一面に広がる水田全てに植えるのだから。
私の所有している水田は他と比べると、さほど広いというわけでもない、
しかし一人での作業はやはり辛い、友人達も自分達の畑の事で手一杯で、手伝ってもらうわけには…。
せめて妻と子が居てくれれば、大分マシになっただろうが、無い物ねだりというものだろうな。

('A`)「ありゃりゃ?」

気付けば自分の水田を少し通り過ぎてしまっており、間抜けな声を出してしまった。
すぐにでも踵を返して水田にもどらなければ…と思ったが、気が進まない。
何故こんなに気分が乗らないのだろうか…田植えという重要な時期にこれではダメだ。
と、自分を奮い立たせてみたが、やはり気分が乗らず、脚が重い。



('A`)(思えば、妻と子が出ていってからの生活は味気ないものだった。以前の私はもっと…もっと…)

もっと輝いていた、もっと生き生きとしていた、もっと笑顔だった、もっと…。

(;A;)(あ、あれ?)

不意に流れる涙、止まらない、留め処ない。
涙と共にフラッシュバックしていく思い出、妻の笑顔、子の寝顔…。

(    )「そこにいるのはドクオ氏ではないかね?」

不意に背後から投げ掛けられた問い、思考が停止し、しかし冷静に動き出す。
涙を見られまいと纏っている布で拭い、振り返る。

( ・∀・)「やあやあ、やっぱりドクオ氏でしたなあ」

聞き覚えのある声に、見覚えのある顔、友人のモララー氏だ。


( ・∀・)「どうしたのかね? 黙り込んでしまって」

('A`;)「いや、悪いな、なんでもない」

友人とは言ったが、ぶっちゃけると苦手な相手だ、馬が合わないとはこのことを言うのか、どうも波長が合わない。
しかし、こんな世の中では近隣の付き合いというものがいかに重要か、それは痛いほど分かっていた、分かっていたから、辛かった。

( ・∀・)「なんでもないのに自分の水田をうっかり通り過ぎるのかい? ドクオ氏はなんでもないのに涙を流し、なんでもないのに絶望を顔に浮かべるのか?」

('A`;)「な、それは…」

素直に、驚いた。
今までただ馴れ馴れしく、口数が多いだけの男だと思っていた。
その男がここまで勘が鋭く、思慮深いとは…。
少し、救われた気がした。



( ・∀・)「ま、なんでもないならいいんですけどね それよりいいんですか?」

('A`)「ん? 何がだ?」

( ・∀・)「田植えですよ、田・植・え」

忘れていた、というわけではないが、大変な田植えという仕事を頭の隅に追いやっていたようだ。
モララーと会話をして、気持ちが楽になった、いい調子で作業が出来そうだ。
踵を返し、別れ際にありがとう、と礼を言ったが、彼は何の事か分からないようで不思議そうな顔をしていた。

それから今まで来た道を数分戻り、水田に着いた。
さあ、仕事を始めよう。
田植え用の苗を一束掴み、水田に入る、しかしズボンの裾を上げておらず、汚れてしまった。
今度こそズボンを捲くり、水田へ、苗の束からさらに小さな固まりを取り、植える。
この瞬間、私の脳内では"ビシィ!"と効果音が鳴り響く、恥ずかしいからこの事は内緒にしているが…。



ビシィ!ビシィ!
もう何度効果音が鳴り響いただろうか、回りを見渡せば、太陽が西に傾き始め、空が柿色に染まっている。
その時、笛の音が聞こえた、この辺では5時を示す笛だ、農作業をする者は皆、この笛を聞くと作業を止める、それは私も例外ではない。
しかし田植えという重要な時期、私一人で植え切らなければならない、年々体も重くなっているし、もうひと頑張りしようか、いや止めよう、止めた。
柿色に染まった空が、昼に食べた料理、雄武雷守の色に見えた、理由を挙げるならばそれだけだ、だがそれだけで十分だ、あの料理が食べたい、今すぐにでも。

水田から上がり、再度水田へ入り、途中経過を示す旗を水田に立て、また上がった。
やはり例年よりペースが遅く、不安になるが、今日は色々あったし、休もう。
そう道具を片付けながら考えていると、昼食後に私が歩いて来た道を自転車に乗った青年が一人、颯爽と走ってくる。
そして私の水田の近くまできた時、自転車から降り、駆け寄って来て、そして尋ねてきた。

( ^ω^)「鬱田ドクオさんかお?」

久しぶりに自分のフルネームを聞いた、こんな抜け殻のような私、
いや、今は脱皮をした6日目の蝉くらいの私になんの用だろう。



('A`)「そうですけど?」

( ^ω^)「田植え機の販売にあがりましたお」

なんだ、田植え機か…田植え機?
なんだそれ。

('A`)「なんだそれ」

つい思ったことを口に出してしまった、こんな聞き方は失礼だが、今は好奇心が勝っていたから。
私の言葉を聞いた青年は、嬉しそうな顔になり、おもむろに肩から懸けていた鞄から、一枚の紙を出した。

('A`)「なんだこれ? 車輪がついてて、田植えをしている機械?」

そこには今まで見たことが無い緻密な機械仕掛けの四輪車があり、後部の機械が田植えをしている様が描かれていた。

( ^ω^)「この機械を使えば田植えなんて楽勝のホイホイですお ドクオさんの水田なら半日で半分、一日ですべてを植え尽くせますお」



('A`;)「す、すごいな…」

思わずため息が漏れる、この機械を使えば田植えなんて…。
でも。

('A`)「でも、いらないわ」

(;^ω^)「へ? 何でですかお?」

('A`)「いらないってよ、こんな高価なもん、買えないよ」

余裕なんてない、生活費を稼ぐのでいっぱいいっぱいな状況で、値段は知らないが、見るからに高価なこんなものは買えない。

( ^ω^)「ああ、値段の事なら安心して下さいお」

瞬間、驚き、嬉しさ、疑問が沸き上がってきた、だがやっぱり一番は嬉しさだ、このつらい田植えを楽に終わらせられる、そう思ったからだ。

('A`;)「ホントか?」

( ^ω^)コクリ…



無言で、だが笑顔で頷く青年、心の底から好青年だと思えた。
だが冷静になってみると、話がうますぎる、生まれる疑問、また、言葉にしてしまった。

('A`)「でもさ、値段の心配がいらないってどういうことだ?」

( ^ω^)「融資をしてくれた人物がいるんですお」

融資?
一瞬言葉の意味が分からなかったが、なるほど、融資か…。

…誰が?

('A`;)「融資をしてくれた人って誰なんだ?」

(;^ω^)「それは…言えませんお…」

('A`)「言えないってどういうことだよ」

問い詰めてやろうとも思ったが、諦めた、この青年も仕事でやってる事だ。



勿論、出所の分からない融資など受けられるはずもない、心辺りがないわけではない、だが断ろう。
いい話ではあるが、そのほうが無難な選択に思えた、だから青年に告げようとしたがその前に青年が話を始めた。

( ^ω^)「あ、でも融資をした人は今晩あなたの家を訪ねるみたいですお
       それでよく独り言で言ってましたお」

『この田植え機なら苗なんてビシィ!ビシィ!ビシィ!と植えれるわ!』

('A`)「え…?」

その言葉で、確信した。
小さな心辺りが大きく、高ぶる、心臓の鼓動が速くなる。
気付いたときには…駆け出していた。

走る、走る、走る、すっかり暗くなった道はよく見えず、何度も転びかけた、いや実際転んだりしたが、走った。
我が家へ、思い出の場所の我が家へ…。


FIN



お題
・煩悩
・田植え機
・ビシィ!
・ハンドクリーム
・「雄武雷守」オムライス

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