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( ><)は夢を見るようです   2008.08.27


『返して』

 僕は気付いたらそこに居ました。
 そこはお墓で僕は昔の姿に戻っていて、目の前では女の子が僕に何か言ってきます。

 何故だか僕にはこれが夢だと分かるんです。
 セピアの景色に写る女の子はまた返して、と言ってきます。
 何を返せば良いのでしょう、それは分かんないんです。

 ふと僕は何か持っている事に気付きました。
 可愛らしいクマの縫いぐるみ、もしかして女の子は僕にこれを返して欲しいのでしょうか。

( ><)「これは僕のなんです」

『違うよ、私のだよ、君が盗ったんだよ』

 女の子は縫いぐるみに手を伸ばして来るので、僕は縫いぐるみを女の子から遠ざけました。
 だってこれは僕の物なんだから。




「ビロード」

 やたらよく聞こえるその声で僕は目を覚ましました。
 僕の家のリビング、ソファの感触がして一気に現実に引き戻されます。
 ちゃんと目を開けて辺りを見回すと、僕はソファの端に足を乗せて、隣にいるワカッテマスくんを見上げるような姿勢で寝ていたんだと分かりました。
 ソファからすぐそこの絨毯には、ちんぽっぽちゃんが座っていてテレビを見ていました。

( <●><●>)「大丈夫ですか?」

 どうやら僕はうなされていたらしく、じっとりと汗をかいた額を触るワカッテマスくんの冷たい手がやけにそれを感じさせました。
 僕はそれが気持ち良くて目を細めていると、また眠気が僕を襲うので仕方無く起き上がりました。
 ちゃんと起きたはずなのに少しだけ意識がぼんやりします。

( <●><●>)「――ところで」

 座り直して欠伸をすると、ワカッテマスくんは僕に尋ねてきました。

( <●><●>)「その縫いぐるみ、貴方が盗ったのでしょう?」





 先程と同じ様に柔らかい笑みを浮かべながら、彼は僕に言いました。
 いつもなら何も感じない、むしろ安心さえ出来る様な笑みが、今の僕には不安と恐怖にしか感じられないんです。
 それに僕は今、あの縫いぐるみは愚か、何も持っていない――

( ><)「!?」

 気付いたら僕の腕の中には夢に出て来た縫いぐるみが置いてありました。
 何故、何で?
 何もかも分かんないんです。
 分かんないん、です。




「ビロード」

 またしてもあの声が聞こえて僕は起きました。
 起きていたはずなのに今起きた、という事から考えれば先程までが夢なのでしょう。
 目を開ければ予想通り先程の夢と同じ様な景色が広がっていました。

( <●><●>)「うなされてましたよ?」

 少しだけ心配そうな顔をしたワカッテマスくんは額に手を置きました。
 何でこんなに暑いのに冷たいんでしょう。
 やっぱりまた眠くなるんです。

( <●><●>)「何か飲みますか?」

 そう言ってワカッテマスくんは立ち上がって飲み物を取りに行きました。
 僕は起き上がって適当にテレビでも見る事にしました。

( <●><●>)「どうぞ」

( ><)「ありがとうなんです」

 手渡されたグラスには綺麗な色をしたオレンジジュースが入っています。
 それから暫くテレビを見て、グラスのジュースも無くなった頃。





( <●><●>)「やっぱりその縫いぐるみは貴方が盗ったのですね?」

 また彼は表情を変えずに、そのまま縫いぐるみを抱えている僕に聞いてきました。
 逆光のせいか、少し笑っているその目がより不気味に見えてきます。
 そしてまた――





「ビロード」

 三度目のその声はやっぱりワカッテマスくんの声です。
 目を覚ませば同じ風景、一度額に置かれる手。
 何処から何処までが夢で現実なのかはもう僕には分かんないんです。

( <●><●>)「ビロード」

( ><)「僕は盗って無いんです」

 だからもう、聞かれる前に言ってしまえば良いんです。
 僕の返答を聞いたワカッテマスくんは一度目を見開いて、その後またいつもの顔に戻りました。

( <●><●>)「そうですか、なら良いのですよ」

 そう言ってテレビへと視線を向けました。
 もう僕の腕の中に縫いぐるみはありません。

 すると部屋の外から電話の音が聞こえてきました。

( ><)「ちょっと行って来るんです」

 こくりと頷いたワカッテマスくんを見てから僕は部屋を出ました。




( ><)「もしもし」

『返して、返して』

 足下の縫いぐるみと女の子の声で僕はまだ夢の中なんだと思いました。
 嫌な夢なんです。

 それに僕はこんな縫いぐるみは知らないんです。
 どうして女の子が僕に言うのかも分かんないんです。

('、`*川「私のお供え物返して」

 すると後ろから女の子の声がして振り返れば夢で見た女の子がそこに居ました。
 受話器を持っているけれど電話線は途中で切れていて、そこから血が滴っていたんです。

( ><)「お供え物?」

('、`*川「私死んじゃったの、その縫いぐるみが欲しかったのに貰う前に死んじゃったの。
     だからお墓に置いてもらったのにお兄ちゃんが盗って行っちゃった。
     だから返して返して返して」





 直接聞こえる声と電話からも聞こえる声、重なって聞こえるその声で僕は思い出しました。
 昔、おじいちゃんのお墓参りに行った時、お供え物として置いてあった縫いぐるみ、それがどうしても欲しくて内緒で持ち出しました。
 両親には拾ったと嘘を吐いて。
 それは許されない罪なんです。

('、`*川「返して」

 女の子が強く言ったと同時に、僕の身体を包丁が貫いていました。
 じわじわと広がる血と痛みに僕は立っていられなくなり、倒れ込んでしまいました。

 痛い、痛い、苦しい。
 意識が遠ざかっていき、僕は目を閉じました。
 その際に女の子は縫いぐるみを抱えて僕を見ていました。
 やっと変な夢から出られるんです。

 良かった――




「ビロード」

 前言撤回、どうやら僕は夢から出られないみたいです。
 一体それがいつまで続くんでしょう。

 そんな事、僕には分かんないんです。


おしまい

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