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(,,゚Д゚)もういいののようです   2008.08.11



(,,゚Д゚)もういいののようです


 
 路端に少年が倒れていた。流行病に飢饉が重なるこの時世、親を亡くし行き倒れる子など、珍しくもない。
 いつものように通り過ぎようとしたが、今日のところはそうもいかなかった。

 まず目についたのは少年の妙な着物だ。袖は短く二の腕で詰められ、腰下からは別の布地が使われている。
 それから、齢は十五程度と見えるが、未だに髷を結っていないのもおかしい。

(,,゚Д゚)「……」

 関わってはならない、と反射的に思った。仏様がそう告げたようにも思えた。
 だが、しかし、私は気がつけば少年を拾い上げていた。

(,,゚Д゚)「この子を後継ぎにしよう」

 そう言い聞かせることで、仏様に背いた事を誤魔化そうとしていた。


 
(,,゚Д゚)「おい、ブーン」

 少年はブーンと呼ぶことにした。そう着物に縫いつけてあったので、恐らく親から与えられた名なのだろう。
 目を覚ましたブーンは少し戸惑ってから、私の目を見て、こう言った。

( ^ω^)「そうだったお、僕はブーンだお」

(,,゚Д゚)「……」

 彼の記憶はまだ定かでないのかと思った。後継ぎの話を切り出すのは、もう少し後でも良いだろう。
 ひとまずは養いながら、私の仕事ぶりを見て、刀鍛冶に憧れてもらおう。

( ^ω^)「それで、あの……」

 ブーンは体を起こして、寝床に座りながらおずおずと言った。

( ^ω^)「ここは、どこなんですかお?」

(,,゚Д゚)「ここは、俺の家だが」

 私も少し戸惑ってから、そう答えた。よもや、自分の家を覚えているのかと疑い、
 果たしてこんな奇妙な服装をさせる彼の家は、どんな家なのだろうかと興味が生まれる。



 
( ^ω^)「……それで、あなたは?」

 彼の家族はとんでもない金持ちかもしれない。それなら、子供を拾ったことは大恩になるのではないだろうか。

(,,゚Д゚)「俺はギコ。ここで刀を鍛えている」

( ^ω^)「……刀鍛冶ですかお?」

(,,゚Д゚)「そんなとこだ。……で、ブーン。お前、自分のことはどれくらい覚えている?」

( ^ω^)「お?」

 ブーンは一瞬怪訝な目つきをしてから、自分の生まれを流暢に語りだした。
 どうやら記憶喪失というのは私の思い違いだったようだ。先ほどは少し混乱していただけなのだろう。

 さて、聞くところ、どうやらブーンは親に忌まれ、食事も与えられなかったらしい。



 
(,,゚Д゚)「だから、逃げてきたのか」

 この様子だと、ブーンを利用してお金を頂けることも無さそうだ。やはり、刀匠として育てるしかない。

(,,゚Д゚)「……とりあえず、腹が減っているだろう。粥を作っておいた、食え」

( ^ω^)「あ、ありがとうございますお……」

 まずは餌付け。何の疑いもなく食べた故、余程のことがあってあそこに倒れていた訳ではないと窺えた。
 とは言え、恩売りは完璧だ。これでもう、ブーンは私の後継ぎ確定といって遜色ない。

(,,゚Д゚)「……うまいか?」

( ^ω^)「はい。……ありがとうございますお」

 この、どうにも阿呆面の奥に、刀鍛冶としての才があるかどうかにも因るが。



 
 ブーンが何やら怪しげなものを口にしていた。見たところ薬のようだが、それにしてはやたら頻繁に食べている。
 気になったせいで鈍が出来てしまった。これ以上影響が出ないよう、ブーンを問い質した。

(;^ω^)「おっちゃん、グミ知らないの?」

(,,゚Д゚)「……」

 私の存在を疑っているような眼で見つめられた。私の積み上げてきた常識が、空しく毀されていく。

 頼み込んで、ぐみとやらを見せてもらった。色とりどりの、僅かに透き通る小石ほどの球体である。
 これが触れてみると、べたべたと張りつくような感触があり、なおかつ押し返すような力がある。
 刀に組み込んだら面白い動きをしそうだ。

(,,゚Д゚)「で、これは何なんだ?」

( ^ω^)「お菓子だお。食べます?」

(,,゚Д゚)「……甘味か。団子は好きだが……あまり食う気にはならん。止しておく」

 これでひどく不味かったりしたら気分が悪い。私は結局ぐみを食べることはしなかった。
 ブーンはしょっちゅう、だらしなく笑いながらぐみを食べていた。



 
 付近の村の女性から、息子が足軽大将になったので、一振り、刀を打って欲しいと依頼を受けた。
 母子の情愛に私は弱い。こうした依頼のとき、私はいっそう丹精を込めて刀を打つ。

 だから私は、今日こそブーンに刀匠の姿を見てもらおうと、彼を工房へ連れ出した。

 素人はすぐ咽る熱気も、ブーンには慣れてもらわなくてはならない。
 灰に汚れた手拭いで汗を拭き、一心不乱に白熱した鉄を打つ。どうだ、刀鍛冶になりたくなっただろう、ブーン。

( ^ω^)「グミおいしいお!」

 この男、試し斬りに使ってやろうか。


 
 ともあれ、ブーンは刀作りに興味を持ったらしく、毎日私の工房に来ては、時たま見よう見まねで鉄を打っている。
 彼が初めて作った刀のようなものは、ぐみを斬った。まぁ私が作った刀はその下の石まで斬ったがな。

( ^ω^)「それにしても、刀鍛冶って、そんなに儲かる仕事なのかお?」

 彼が言うに、鍛冶といえばせいぜい包丁やれぷりか(鈍のことらしい)くらいしか作らないと、
 また意味不明な単語だが、てれびという世界で見たのだという。

(,,゚Д゚)「そりゃあ、百姓よりは儲かるな。特に俺みたいな名工はがっぽりよ」

( ^ω^)「……へぇ」

(,,゚Д゚)「お前も知ってるだろう、鬼天烈って刀。あれ、若い時俺が作ったんだよ」

 そう言うとブーンは目を丸くした。そこまで驚かれると、私の腕が鈍ったのではないかと疑ってしまう。
 その後ブーンが小さな声で呟いたのが聞こえた。

( ^ω^)「……まだ生きてたとは……」

 とりあえず殴っておくのが正しいだろう。



 
 朝早く、ブーンが頭を下げてきた。

(  ω )「あなたが、僕の師匠になってください!」

 こんな時まで命令か。可愛くない奴だが、刀を鍛える気があるのなら、逆らわないでやろう。

(,,゚Д゚)「修業は厳しくなるぞ」

(  ω )「それでもお願いしますお!」

 本当に珍しいもので、ブーンの声には真剣味があった。
 刀作りというものが、ブーンをこうさせたと思うと、私は妙に嬉しさが込み上げた。

(,,゚Д゚)「……よし、良いだろう。お前に俺の刀匠としての極意、皆伝する。しっかり付いて来い!」

( ^ω^)「! はい、師匠!」

 人生で一度は、「俺のことは師匠と呼べ!」と言いたかった私の願いは、この時、露と消えた。



 
 十年もすると、いよいよブーンも石を両断できる刀を完成させた。
 私にとって初めて刀と呼べるそれに、ブーンは自らの名をもじり、舞雲と刻んだ。

( ^ω^)「僕の刀……表に置いておいたら誰かが買うかも知れないお。置いていいですか、師匠!」

(,,゚Д゚)「……ふん、格安で売りに出してやるよ」

( ^ω^)「あざーっす!!」

 ブーンの刀は、割とすぐに売れた。私の刀と同じ値段で並べたのだが。
 買った人に訊いたところ、ブーンの刀は、言い知れぬ仏の力のようなものを纏っていると言われた。

 ブーンは真に、仏の子かも知れない。
 さしずめ、ぐみというのは天上の神々しきものだろう。私などが食べなくて良かった。

 果たして、このまま師匠などと呼ばせていいものかと苦悩した。

( ^ω^)「グミおいしいお!」

 うむ、構わないだろう。序でに前言撤回である。



 
 ブーンの刀が私の刀を斬った。何なのだ、この悔しさは。
 しかし、青は藍より出でて藍より青し、これははじめから決められた理だったのかもしれない。

(,,゚Д゚)「こんなに……はっきり見せつけるなよ……」

(;^ω^)「……すみません、師匠」

(,,゚Д゚)「俺はもう師匠じゃねぇ。……まぁ、これで安心してお前を二代目にできる」

( ^ω^)「師匠……」

(,,゚Д゚)「もう師匠と呼ぶな。おっちゃんでいい。……俺の体が動くうちは、危なっかしいから見ていてやる。
      ただ、そうじゃなくなったら、あとはお前が好きなようにやれ」

( ^ω^)「……おっちゃん、ありがとお……」

(,,゚Д゚)「……」

 久々におっちゃんと呼ばれたが、やっぱりいまいち癇に障る呼び方だ。



 
 ブーンは私の刀を斬った刀に、よりによって愚魅と刻んだ。

( ^ω^)「師匠を抜かせた時、刀にこの名前を付けるって決めてたんだお」

(,,゚Д゚)「文句はない……だが、当て字が悪いな。愚に魅されるとは……」

( ^ω^)「……もう刀身に刻んじゃったお」

(,,゚Д゚)「馬鹿野郎……刀は変な名前を付けると妖刀になるという。心のこもった太刀なら尚更だ」

( ^ω^)「……それでも、この刀は僕が作ったお。妖刀になったって、僕がこれを越す刀でたたっ斬るお」

 ブーンはもっと伸びる。私の存在は、彼の陰に隠れてしまうだろうが、それも良いだろう。
 私はブーンを育てた。私がそう知っているだけで、私はもういいのだ。



おわり

お題
・グミ
・太刀

COMMENT

これ地味かもしれんけど
かなり好きだなあ

2008.08.12 | URL | #- [ 編集 ]

ギコ目線から見るブーンの様子を書くのが上手いよな。
時々出てくる独り言が笑えたw俺も好きな部類の話だな。

2008.08.13 | URL | K. #Ao2/Iifk [ 編集 ]

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