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VIP政府直属UMA特別遊撃班、ヴアのようです   2008.08.09

( ФωФ)「いつまでお遊戯をしているつもりだ?」

そいつの後ろには、既に犠牲になった死体が散々に横たわっていた。

(;^ω^)「そんな……圧倒的すぎるお……」

百二十人対一人。しかもこちら側には最新式のフィジカルアーマーとレーザーガンがあるというのに……
まるでそれをオモチャとでも言うように肉ごとアーマーを外し、レーザーガンははじき返す。
まさにバケモノだった。

( ФωФ)「ガキか? こいつら」

一人、また一人とそいつはこちらの戦力を少しずつ、だが確実に食い散らかすように減らしていく。
それは人間の形をしているが、人間などではなかった。

(;^ω^)「なんで政府はこんなバケモノを百二十人で止められると思ったんだお! 今までのUMAとは力量が違いすぎるお!」

VIP政府直属UMA特別遊撃班、通称ヴア。危険とされる「未確認生物」の調査、保護及び抹殺を目的とする中規模なグループ。
大抵は虚偽の報告しか出てこず、それをいちいち調査して戻ってくるのが普通だが、たまに本物の未確認生物が発見され、実際に捕獲されている。
今回、ヴアに入った仕事は、各地で被害をもたらしているという「ロマネスク」の調査及び捕獲、抹殺の遂行である。
いかにもありきたりな名前であり、創作ということで間違いないだろうと政府側で判断し、千名いる班員の内、百二十名以下で出撃せよと命令が出された。
いつものことであるため、ヴアは特別何も抗議することもなく百二十名で出撃させた。
だが、それは間違いであった。
(;・∀・)「くっ……も、もういやだぁあああ!! うわぁあああああああ!!」

( ФωФ)「愚かな……あーん……ベロリィッ!!」

一名の隊員が逃げようとしたが、ロマネスクの長い舌で舐めとられるように口の中へと入っていった。

(#・∀・)「う、うわ、何するんだぁあ! いやだぁああああ!!! あぁぁぁ……」

( ФωФ)「くっくっく……なるほど、VIP政府直属UMA特別遊撃班、対未確認生物白兵戦対策課所属。シリアルナンバー117117、モララー。」

( ФωФ)「後は……ふん、つまらん人生だな」

(;^ω^)「……奴はなんでモララーのシリアルナンバーまで……。……まさか、報告書にあったことが本当だとすれば……!」


杉浦ロマネスク UMA第312号体(仮)

杉浦、という男性の精子から採取された遺伝子情報によって作られたクローン。
しかし不完全な技術だった上に、UMAである「キメラ(※)」の遺伝子情報を混ぜたため、性格は凶暴化。
またキメラの特質である「三種類以上の動物の能力」を持ち合わせており、非常に人間離れした体力を保有。
なお、食人すると活性化する細胞がある、と自ら発言していたと目撃者は語っており、実際に仲間が食べられたときに、その者しか知るはずもない個人情報をうわごとのように繰り返していたという。
生息地はさだかではないが、クソスレ地方周辺で主に目撃されている。
なお、クローンなので一個体のみであるといわれている(噂によっては複数体との話もある)。

(※)キメラ。UMA第273号体。化学実験による配合で生まれる、不特定多数の動物の遺伝子を混ぜて作られる繁殖型のUMA。
      ヴアでは現在6体を資料として保存してある。

(;^ω^)「……そうだ、こんな怪物を世に放つわけにはいかないお!」

内藤は勇猛果敢にロマネスクに突っ込んだ。

( ФωФ)「ふん……鬼さんこちら、手のなるほうへッ!!」

ロマネスクの舌が急激な速度で伸びていく。それを内藤は右にかわしたかのように見えた。
しかし、右腕の薬指がものすごい力で絡み付けられ、そのままもぎ取られた。

(#^ω^)「い、痛いおぉおおおおおおおおおおお!!」

( ФωФ)「VIP政府直属UMA特別遊撃班、対未確認生物白兵戦対策課課長、シリアルナンバー774……内藤ホライゾン」

( ФωФ)「ほお、まさかお偉方が前線に出てくるとはなあ。驚いた」

そう言って笑うロマネスクに、内藤はコンバットナイフを持って突っ込んだ。

(#^ω^)「死ねぇええええええええええええ!! バケモノぉおおおおおおお!!」



( ФωФ)「……だが、薬指だけだと遺伝子が断片的だな。もっとお前の全てを見せろ、もっとお前の思い出を、記憶をぉお!」

ロマネスクは舌を伸ばして、内藤の身体をナイフごと飲み込んだ。

(;^ω^)「おっ、おっ、おぉおおおおおお!?」

( ФωФ)「もっとぉおおおおおおおおおおおおッッ!!」

ゴクリ。そう生で聴こえた後、数秒間沈黙が訪れ、その沈黙を破ったのはやはりロマネスクの一言だった。


( ФωФ)「寂しくて儚い、そしてつまらない人生だなぁっ!! 課長さんよぉおおおおお!!! フハハハッ!!」

ロマネスクはそう叫ぶと、吐き捨てるようにコンバットナイフだけを地面に落とした。

しかし、しばらくするとロマネスクはまた黙り込み、そしてまた叫んだ。

( ФωФ)「……! なんだこの記憶はぁッ!? 毒物!? 影武者ァッ!?!?」

━━シリアルナンバー774、内藤ホライゾン
━━VIP政府直属UMA特別遊撃班、対未確認生物白兵戦対策課課長の、「影武者」。尚、シリアルナンバー774は特攻隊全員のナンバーである。
━━また、内藤ホライゾンは毒物を持ってしてロマネスクを止める役割を担っていた。

( ФωФ)「そ、そんなぁッ……バカなっ! く、くぅぁあああッ!! 苦しいッ! 腹が猛烈に痛いぞぉ! 肺がッ! つぶれそうだぁぁぁぁあああああッ!!」

━━( ^ω^)「モララーは監査役だったお。お前が喰わなかった他の隊員、全員ナンバーは774。最初から、全部シナリオどおりだったお」

━━( ^ω^)「せめて今まで殺した奴らに黙祷をささげながら死にやがれこのバケモノッ!」

━━( ^ω^)「……それが天罰だお」

それを最期に、内藤の記憶が途切れた。

( ФωФ)「糞ォッ!! 最初から、このシナリオはぁッ!! 台本どおりだったんだな!!」

( ФωФ)「畜生、ちくしょぉおおおおおおお!!」

( ´∀`)「いつまでお遊戯をやっているモナか? もう物語は終わりモナ」

( ФωФ)「……ッ!?」

( ´∀`)「朽ちて死ね」

シリアルナンバー、6723。VIP政府直属UMA特別遊撃班、対未確認生物白兵戦対策課課長のその手に握るレーザーガンは、ロマネスクの剥きだしにされた心臓に向けられていた。

パン、と乾いた音がなる。

そして幕は閉じた。

  終

お題
・( ФωФ)「いつまでお遊戯をしているつもりだ?」

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